うねりの「窓」とは
海岸にはそれぞれ、うねりが入ってこられる方角の範囲があります。半島や岬、湾の形が、ほかの方角から来るうねりをさえぎるからです。Surf Window ではこの範囲を「うねりの窓」と呼び、ポイントごとに設定しています。窓の外から来たうねりは、沖でどれだけ大きくても、浜にはほとんど届きません。
湘南の窓は、南に向かって狭く開いています。東を房総半島、西を伊豆半島にふさがれているためで、たとえば鵠沼の窓は南南東から南西まで。一方、九十九里は太平洋に大きく開いていて、一宮海岸は北北東から南まで、東を中心にした広い範囲を受け止めます。南房総はその中間で、千倉は東から南南西まで、南東寄りに開いています。
うねりの向き別、届く割合
下の表は、沖のうねりのうち何割がそのポイントに届くかを、Surf Window の計算式でそのまま出したものです。100 なら沖の高さのまま、50 なら半分の高さとして採点されます。
| うねりの向き | 東 | 東南東 | 南東 | 南南東 | 南 | 南南西 | 南西 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 鵠沼 | 2 | 7 | 21 | 59 | 92 | 89 | 55 |
| 七里ヶ浜 | 3 | 9 | 27 | 73 | 100 | 73 | 27 |
| 大磯 | 2 | 3 | 10 | 31 | 72 | 99 | 79 |
| 一宮海岸 | 97 | 96 | 84 | 68 | 39 | 13 | 4 |
| 太東 | 99 | 94 | 80 | 63 | 25 | 8 | 3 |
| 片貝 | 89 | 99 | 94 | 81 | 65 | 40 | 13 |
| 飯岡 | 68 | 84 | 97 | 96 | 83 | 66 | 50 |
| 御宿 | 79 | 95 | 96 | 81 | 60 | 24 | 8 |
| 千倉 | 55 | 77 | 94 | 98 | 83 | 63 | 21 |
数字は沖のうねりの高さのうち、そのポイントに届く割合(%)。Surf Window の採点と同じ計算です。
この表から、台風のうねりについて次のことが読み取れます。
- 東や東南東から来るうねりは、湘南にはほぼ入りません。台風が関東の東の沖にあり、うねりが東寄りから届く日は、九十九里だけが反応しやすくなります。
- 南からのうねりは湘南の本命です。七里ヶ浜や稲村ヶ崎は真南でほぼ 100 ですが、一宮周辺は 4 割を切ります。
- 南南東は、湘南と九十九里の両方に入る数少ない向きです。ただし鵠沼で約 6 割、一宮で約 7 割と、どちらもベストの角度からは外れます。この向きに一番素直に反応するのは、飯岡や南房総の千倉です。
- 南南西から南西寄りなら、平塚や大磯など湘南の西側が強く、一宮周辺にはほとんど届きません。
台風の位置だけを見て「南にあるから湘南に入る」と決めるのは早計です。うねりの向きは、台風の周りで強い風が吹いている側によって変わり、台風の進路とともに時間単位で回っていきます。予報のうねりの向きを、行きたいポイントの窓と見比べるのが確実です。
周期が長いほど、遠くから強く届く
台風のうねりの強みは、周期の長さです。Surf Window では、周期 4 秒以下の波はほぼ点になりません。そこから周期が長くなるにつれて点が上がり、ポイントごとに決めた周期に届くと満点です。基準は九十九里の多くのポイントで 9 秒、由比ヶ浜、稲村ヶ崎、大磯は 11 秒。鎌倉の湾の奥にある由比ヶ浜は、しっかりした長周期の南うねりが入らないと、ほとんど何も始まりません。
同じ高さでも、周期が長いうねりほど多くのエネルギーを運びます。沖で 1 m 程度の予報でも、周期が長ければ浜では思ったより大きく割れることがあります。
風は、台風が離れてから
台風が近づいている間は、強い風で海面が荒れていることが多く、うねりがあっても面はガタガタです。狙い目は、台風が離れて風が落ち着き始めたころ。台風が通り過ぎたあとの吹き返しは、北から西寄りの風になることがよくあります。
オフショアになる風向きはエリアごとに違います。湘南はほぼ北、一宮周辺は西、片貝は西北西、南房総は西北西から北西です。北寄りの風が強い日、九十九里の多くのポイントは面が乱れますが、刑部岬の下にある飯岡では北から北北西の風がオフショアになります。片貝も、港の堤防が北風からバンクを守ります。
大きすぎる日は
台風のうねりは、ポイントの手に負えないサイズまで上がることもあります。Surf Window では、沖のうねりがそのポイントの上限サイズの 1.25 倍を超えると、ほかの条件がよくてもスコアを 38 点までに抑え、「サイズオーバー」と表示します。
上限は、湘南のビーチでは辻堂の 2.4 m が一番低く、辻堂はサイズが上がると真っ先に割れなくなります。茅ヶ崎パークは鵠沼より少しサイズに強い設定です。九十九里では太東が 3.2 m、飯岡が 3.4 m と、大きなうねりに強いポイントです。湘南のビッグデイの選択肢は稲村ヶ崎ですが、ビーチがクローズアウトする日にだけ割れる上級者向けのリーフで、強いカレントとローカリズムがあります。
Surf Window での確かめ方
ホーム画面の「今週のベスト」には、7 日間のうち点数の高い時間帯が並びます。台風のうねりは、予報モデルによって見通しが大きく分かれやすいものです。そこで各時間帯には「モデル一致 3/3」のような表示を付けています。3 つの波浪モデル(MFWAM、ECMWF WAM、GFS Wave)で同じ時間帯を採点し直し、いくつのモデルがいい時間帯と判断したかを示すものです。「モデル不一致」と出ていたら、まだ予報が固まっていないサインです。
なお、各ポイントの窓やサイズの数値は、海岸線の形と評判をもとにした推定で、実際の波での検証を続けています。台風の接近中や警報が出ているときは、無理に海に入らないでください。
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